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本紙連載に新聞協会賞 「ヒロシマの空白」 受賞15度目

 日本新聞協会は7日、2020年度の新聞協会賞を発表し、中国新聞社の連載「ヒロシマの空白 被爆75年」「ヒロシマの空白 被爆75年 街並み再現」など計6件が選ばれた。中国新聞社の新聞協会賞受賞は15度目で、編集部門では10度目。授賞式は11月26日に神戸市で開かれる第73回新聞大会である。

 新聞協会賞は、新聞界(通信、放送を含む)の信用と権威を高める活動を促すため1957年に設けられた。本年度はニュース22件、写真・映像22件、企画は「ヒロシマの空白」を含む51件、の計95件の応募があった。新聞協会賞は従来は3部門に分かれていたが、本年度から編集部門のみを新聞協会賞とし、経営・業務部門を新聞経営賞、技術部門を新聞技術賞とする形に再編した。

 「ヒロシマの空白」は、被爆から75年を経てなお分かっていない被害実態をあらためて調べるなどした。連載記事と、原爆で壊滅する前の広島市内の写真を集めて紹介する「街並み再現」を両輪に、紙面展開した。

 日本新聞協会は授賞理由を「公文書や被爆者団体の資料、生存被爆者らの証言から公的記録に残っていない犠牲者の名前や、詳細が不明だった遺骨の身元を突き止め、75年を経ても歴史の空白を埋められることを実証した。さらに写真アーカイブを構築し、原爆投下前の街の姿や生活の営みを伝えた」ことを挙げ、「被爆者の実態や国の不作為を丹念な取材により浮かび上がらせた一連の報道は、記憶を風化させないジャーナリズムの力を示す優れた調査報道として高く評価され、新聞協会賞に値する」とした。

 中国新聞社は、編集部門では59年度の連載企画「瀬戸内海」で初めて新聞協会賞を受けた。「ヒロシマ50年」(95年度)など節目の原爆報道でも受賞。今回の受賞は、2012年度の写真企画「命のゆりかご~瀬戸内の多様な生態系」から8年ぶり。

核なき世界 寄与する

岡畠鉄也中国新聞社社長の話
 日本新聞界の最高賞を被爆75年の節目の年に頂き、大変うれしく思います。取材にご協力頂いた被爆者やご遺族、関係の方々にあらためて御礼申し上げます。わが社の原爆平和報道では5度目の受賞です。被爆地の新聞社として、これからも原爆被害の実態の未解明部分を少しでも埋めていく努力を続け、核兵器のない世界の実現に寄与したいと考えています。

<受賞作品>

【新聞協会賞】「戦没者遺骨の取り違え公表せず」の一連のスクープ 日本放送協会(代表・報道局社会部副部長 木村真也)▽教師間暴力のスクープと神戸の教育を巡る一連の報道 神戸新聞社(代表・編集局報道部 井上駿)▽コロナ重症病棟 医師たちの闘い フジテレビジョン(代表・ニュース総局報道局報道センター報道番組部長 佐野純)▽焼け落ちた沖縄の象徴 沖縄タイムス社(代表・編集局デジタル報道本部写真部長 崎浜秀也)▽「にほんでいきる」 外国籍の子どもたちの学ぶ権利を問うキャンペーン報道 毎日新聞東京本社(代表・人事部=前編集編成局社会部 奥山はるな)▽「ヒロシマの空白 被爆75年」「ヒロシマの空白 被爆75年 街並み再現」 中国新聞社(代表・編集局報道センター ヒロシマ平和メディアセンター長 金崎由美)
【新聞経営賞】 熊本日日新聞社 小中学生新聞「くまTOMO」の登録会員とICTを活用した取り組み(代表・編集局読者・新聞学習センター長 今村浩)

(2020年10月8日朝刊掲載)

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