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岸田氏、核廃絶へ私案 総裁選にらみ 2冊目著書出版へ 「英知を結集」日米中協議も

 自民党の岸田文雄前政調会長(広島1区)は15日、「核兵器のない世界へ 勇気ある平和国家の志」(日経BP)を出版する。被爆地を地盤とする元外相として「世界中の人々の羅針盤になりたい」と宣言。核廃絶に向けたアプローチの私案もつづっている。

 来秋の党総裁選に再挑戦する意欲を示す中での2冊目の著書で、「故郷・広島への想い」「核の傘と非核三原則」など5章構成。核廃絶という難題を「人類が英知を結集することで克服できる」と巻頭で唱える。

 非政府組織「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))のノーベル平和賞授賞式(2017年)で演説したカナダ在住の被爆者サーロー節子さん(88)が遠縁に当たると紹介。核廃絶の願いを同じくしながら、年明けの発効が見込まれる核兵器禁止条約の課題に目を向ける。米国やロシア、中国などを加えた現実的な議論が必要とし、「タイミングを間違えるとテーブルに着かせられなくなる」と強調する。

 第5章「岸田イニシアティブ」は核廃絶への私案。核拡散防止条約(NPT)体制の強化を前提とした上で、核抑止力を実務者で議論する日米拡大抑止協議を政治レベルへと段階的に引き上げるべきだと訴える。

 中国を巻き込むため、「平和と開発のための原子力」をテーマにした日米中の話し合いを提案。「国際賢人会議」を創設し米ロの大統領経験者であるオバマ、ゴルバチョフ両氏ら影響力のある人物に核廃絶という山頂に導く「シェルパ役」を担ってもらう構想も披露している。(下久保聖司)

(2020年10月15日朝刊掲載)

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