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毒ガス被害 後世に伝える 大久野島で死没者慰霊式

 大久野島(竹原市忠海町)にあった旧日本陸軍の毒ガス製造工場で従事していた被害者を悼む死没者慰霊式が15日、島内にある慰霊碑前であった。昨年は悪天候で中止となったため、2年ぶりの開催となった。

 被害者8団体の事務作業を請け負う大久野島毒ガス障害者団体連絡協議会と、周辺の8市1町でつくる「大久野島毒ガス障害者対策連絡協議会」の主催。被害者や遺族たち計55人が参列した。

 同連絡協の会長を務める竹原市の今栄敏彦市長が、8団体の会員のうち前回2年前の慰霊式以降に亡くなった103人の名前を加えた4027人分の死没者名簿を慰霊碑に奉納。「戦後75年で毒ガス障害者の高齢化が進む中、医療制度の充実強化などへ全力を尽くす」と式辞を述べた。参列者は黙とうし、慰霊碑に向かって献花した。

 県によると、国の健康管理手帳を持つ被害者は1日現在で1145人で平均91・5歳。被害者団体の一つ「忠海分廠(ぶんしょう)動員児童の会」の三好清夫会長(88)は「化学兵器の恐ろしさを後世に伝えるためにも、式典は重要だ。新型コロナウイルス禍の中でも開催でき、ほっとした」と話した。(山田祐)

(2020年10月16日朝刊掲載)

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