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核禁条約 距離浮き彫り 加藤氏「支持得られていない」

 加藤勝信官房長官(岡山5区)は16日の閣議後の記者会見で、年明けの発効が見込まれる核兵器禁止条約について「核保有国のみならず、核の脅威にさらされている非保有国からも支持が得られていない。地道に現実的に核軍縮を前進させる道筋を追求していくことが適切だ」と述べた。菅政権は安倍前政権に続いて、「核の傘」を提供する米国への配慮から条約と距離を置く姿勢を改めて示した。

 日本は国連総会第1委員会(軍縮)に毎年出している核兵器廃絶決議案で、今年も核兵器禁止条約に直接触れていない。加藤氏は「条約が目指す核廃絶というゴールは共有する」としながらも、「わが国のアプローチと異なり、署名は行わない考えを従前から申し上げている」と述べた。

 被爆国として核廃絶を国際社会に訴える一方、米国の「核の傘」に依存する矛盾については正面から答えず、抑止力の維持や強化を含めて現実の安全保障上の脅威に対処するべきだと強調した。

 決議案は11月上旬までに第1委員会を通過し、12月までに総会で採択される見通しだ。(下久保聖司)

(2020年10月19日朝刊掲載)

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