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日赤病院のカルテ分析 「黒い雨」被害再検証 厚労省、土壌調査も計画

 米国による広島市への原爆投下後に降った「黒い雨」の被害を巡り、厚生労働省が国の支援が受けられる援護対象区域を再検証するため、広島赤十字・原爆病院(広島市中区)にある被爆者たちのカルテ分析や、土壌調査を計画していることが分かった。16日に発足させる予定の検討会で提示するとみられる。

 関係者によると、降雨範囲の推定に向けたカルテの症例分析はこれまで行われていないという。広島赤十字・原爆病院は1955~2000年に診察した被爆者約5万4千人分のカルテをデータベース化している。厚労省は急性期の症状の有無や被爆時の状況などを詳しく調べ、再検証に反映させる考えだ。

 厚労省はスーパーコンピューターなどを活用して降雨範囲を改めて推計する方針だ。そのエリア内の土壌に原爆との関連性がある放射性物質がどれだけ含まれるかも調べる予定でいる。

 日本被団協事務局長の被爆者や放射線・気象の専門家たち11人で構成する検討会の顔ぶれも固まった。前回の検討会(10~12年)で座長を務めた沖縄徳洲会湘南鎌倉総合病院付属臨床研究センターの佐々木康人・放射線治療研究センター長も名を連ねた。前回検討会は援護対象区域の拡大に否定的な報告書をまとめていた。(河野揚)

(2020年11月11日朝刊掲載)

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