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被服支廠利活用 負担もあり得る 広島市長、初の言及

 広島市の松井一実市長は15日、広島県が所有する最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」(同市南区)の利活用について、費用の一部を市が負担することもあり得るとの認識を初めて示した。負担ありきではなく、国と県を交えた3者で具体的な活用策を十分に検討する重要性も指摘した。

 松井市長は被服支廠の保存について、2016年度に市から国と県に呼び掛けて研究会をつくり協議してきたと説明。「議論を踏まえ、ヒロシマの心を発信する施設としての利活用を提案したい。その中で3者の役割や財源問題もおのずと決まると思う」と述べた。

 被服支廠は県が3棟、国が1棟を持つ。松井市長は「所有者が責任を持つ部分、利用の観点から市が費用負担する部分などの整理ができるのではないか。財源問題を入れながら見直す局面だ」と述べた。一方で「費用負担ありきではなく、どう保存して活用するかが重要。そのために費用をどうするか、しっかり議論したい」と強調した。

 老朽化が進み安全対策が課題となっている被服支廠について、県は19年に「2棟解体、1棟を外観保存」とする原案を公表。昨年12月には、耐震性の再調査結果を公表し、耐震化して全面活用する場合、1棟当たりの工事費が従来のほぼ半額になると判明している。(久保田剛)

(2021年1月16日朝刊掲載)

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