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ヒバクシャ署名せず 知事 関係者、失意の声

 村岡嗣政知事は21日の定例記者会見で、核兵器禁止条約への参加を各国に求める「ヒバクシャ国際署名」に最後まで協力しなかったことを明らかにした。核兵器の開発から保有、使用まで一切を禁止する条約の趣旨に理解を示す半面、「廃絶に向けた道筋や手法は政府が判断すること」と自身の関与を避けた。山口は人口比で広島、長崎両県に次いで被爆者が多く、関係者から失意の声が上がった。

 同署名は昨年末で締め切られ、1370万2345筆が集まった。広島や島根、鳥取の知事たち全国の首長1497人(前職含む)も協力している。

 村岡知事はかねて「核兵器保有国と非保有国が認識を一つにしないと進まない」とする日本政府の見解を「現実路線」と強調。この日は条約や署名への考え方を報道陣に問われ「目指すゴールは同じだが、道筋が政府の考え方と違う」と引いた構えを見せた。

 村岡知事は総務省官僚時代の2002~05年、出向した広島市で財政課長を務めている。県原爆被爆者支援センターゆだ苑の岩本晋理事長は「被爆者が多い県の知事として、署名しなかったことを悪びれず言うのは恥ずかしい。もっと被爆者に寄り添い、思いをくんだ対応をすべきだ」と残念がった。(門脇正樹)

(2021年1月22日朝刊掲載)

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