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広島市 締約国会議参加へ 核禁止条約 被爆実態を発信 実効性高める狙い

 広島市が、22日に発効した核兵器禁止条約の第1回締約国会議への参加を念頭に、2021年度当初予算案に関連費用を盛り込む方針であることが24日、分かった。被爆の実態を発信し、核兵器廃絶を目指す平和首長会議の会長を務めている松井一実市長の出席を想定。会議は今年末にもオーストリアの首都ウィーンで開かれる見通しで、条約の実効性が高まるよう貢献したい考えだ。(水川恭輔)

 禁止条約は、前文で核兵器廃絶に向けた非政府組織(NGO)の努力に触れ、締約国は締約国会議にオブザーバーとして招くよう定めている。関係者によると、会議は各国の核軍縮の担当者が集まり、日程にはNGOによる演説枠も見込まれている。

 市は、条約発効後初めてとなる第1回会議を重視。新型コロナウイルス感染拡大の影響で集会による会議開催が確実とは言えない状況だが、首長会議の訴えを発信する好機になるとみて、渡航、滞在費などを含む関連費用を予算化する方針。

 首長会議は1日時点で165カ国・地域の8002都市が加盟し、広島平和文化センターが事務局を務める。松井市長は、17年に米ニューヨークの国連本部であった禁止条約の制定交渉会議にも首長会議の会長として出席し、NGO枠で演説。「被爆者は存命のうちに核兵器の禁止を見届けたいとの強い願いを持っている」と訴え、条約採択を求めた。

 締約国会議では、条約の履行状況、核軍縮のためにさらに取るべき措置などが議論される見通しだ。条約は、NGOのほかに非締約国もオブザーバーとして会議に招くと規定。ただ、条約に署名・批准する考えはないとする日本政府は、オブザーバーとしての出席にも慎重な姿勢を崩していない。

(2021年1月25日朝刊掲載)

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