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島根県内でも歓迎の声 県原水協 街頭で批准訴え 核兵器禁止条約発効

 核兵器の開発や使用を全面禁止する核兵器禁止条約が発効した22日、島根県内でも歓迎の声が上がった。原水爆禁止県協議会(県原水協)は、「歴史的な一歩」と松江市内で街頭行動。県原爆被爆者協議会の被爆者も、核廃絶に期待を膨らませた。条約に参加していない日本政府には、いら立ちを募らせた。(三宅瞳)

 街頭行動には、県原水協の約30人が参加。広島市出身で、原爆で広島第一高等女学校(現皆実高)の多くの同級生を亡くした西尾幸子代表理事(88)=松江市=は、発効を喜んだ上で「残念なのは、日本政府が条約に背を向けていること。唯一の被爆国の政治家なら、原爆の悲惨さ、非人道性が分かるはず」と訴えた。

 メンバーは、街頭で政府へ条約の署名・批准を求める署名活動も展開。応じた会社役員小田隆弘さん(73)=同市=は「日本は、米国に署名を呼び掛けるくらいの立場であるべきだ。次期衆院選の争点になってほしい」と話した。県原水協は23日、松江テルサ(同市)で原爆パネル展を開く。

 広島市内で陸軍工兵隊として爆心地から4キロの兵舎で被爆した県原爆被爆者協議会の原美男会長(93)=松江市=も「核廃絶は被爆者の悲願。大事な一歩で、大変喜ばしい」と歓迎。ただ条約不参加を明言する政府の態度には「開いた口がふさがらない」とし、「核なき世界平和をうたうなら、実効性のある提案をしてほしい」と語気を強めた。

 丸山達也知事は「核軍縮に向けた大きな前進で、関係者の努力に敬意を表したい」とコメントした。

(2021年1月23日朝刊掲載)

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