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原爆症認定訴訟 原告の請求棄却 広島地裁判決

 被爆の影響で甲状腺機能低下症を発症したのに原爆症の認定申請を却下したのは不当として、広島県内の被爆者の女性(77)が国に却下処分の取り消しを求めた訴訟の判決で、広島地裁は27日、請求を棄却した。

 大森直哉裁判長は、甲状腺機能低下症が原爆放射線に起因するかを検討。発症した2009年9月ごろの直前まで計3回、バセドー病の放射線ヨード治療を受けた点を踏まえ「甲状腺機能低下症は放射線ヨード治療の影響に起因する可能性が高い」などと因果関係を否定した。バセドー病が原爆放射線の影響で発症したなどとする訴えも退けた。

 女性は1歳だった1945年8月7~11日、父親を捜すため、母親に背負われて爆心地付近の猿楽町(現広島市中区)や周辺に滞在し入市被爆した。原爆症の認定申請を却下され、18年4月に提訴した。女性の弁護士は「年齢も考慮し、判決内容を精査して控訴するか検討したい」とした。

(2021年1月28日朝刊掲載)

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