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締約国会議に参加意向 広島市長、核兵器禁止条約発効で 廃絶へ発言機会望む

 広島市の松井一実市長は28日の記者会見で、22日に発効した核兵器禁止条約の第1回締約国会議に参加したいとの考えを表明した。国内外8千都市以上が加盟している平和首長会議の会長も務めており、市長と会長の双方の立場から会議の中で核兵器廃絶を訴えたいと意欲を示した。(水川恭輔)

 会議は今年末にもオーストリアの首都ウィーンで開かれる見通し。条約は、非政府組織(NGO)もオブザーバーに招くと定めている。松井市長は会見で、首長会議がオブザーバー参加する方向で検討していると説明。2021年度当初予算案に出張に必要な経費を計上する考えを述べた。

 また、参加した際は「ベースは市長として、そして平和首長会議の会長として、発言の機会を与えてもらえたらと思っている」と強調。核兵器廃絶を目指す市民社会の総意の形成と、核抑止論からの解放を重視して廃絶を進める考え方を発信したいとした。

 松井市長はこの日、首長会議が20年までの廃絶を目指して03年に示した行動指針「2020ビジョン」についても総括した。具体的な目標の一つに掲げていた禁止条約の締結などは実現したが、廃絶は未達成で、条約の効果をどう高めていくかを今後の課題に挙げた。

 その上で、核兵器保有国とその同盟国の禁止条約締結に向け、「条約の効果的な運用と発展に向けた議論への参画と締約国会議への参加を要請する必要がある」と指摘。首長会議の総会がある今年8月に次期ビジョンを策定できるよう、役員都市と議論を進めるとした。

(2021年1月29日朝刊掲載)

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