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サカスタ 開放的デザイン 大成など8者JVに交渉権 提案評価 広島市が決定

 広島市が中区の中央公園広場で進めているサッカースタジアム建設計画で、スタジアムの設計と建設を担う事業者に31日、大成建設中国支店(中区)など8者でつくる共同企業体(JV)が事実上、決まった。市の有識者審議会が四つのアイデアを審査し、このJVの提案が最高点として、松井一実市長に答申した。市は今後、このJVと優先的に交渉を進める。(新山創)

 JVが示したスタジアムのイメージによると、四隅を大きく空けた開放的なデザインとなる。観客が陣取るスタンドと選手がプレーするフィールドを近くして臨場感を高める。場内を一周するコンコースを設け、買い物をしながらどこでも観戦できるようにする。

 試合のない日にも多くの人が訪れるよう、スタジアムには2本の自由通路を整え、市民の散策路としてもらう。東側の広場エリアとの間をアクセスゾーンとし、イベントを催せる「スパイラル広場」やミュージアムなどの多機能施設をつくる。広場エリアには、既存の植栽を生かした「平和の森」などを整備する。

 建設地の中央公園広場は、平和記念公園を設計した故丹下健三氏が原爆資料館、原爆慰霊碑、原爆ドームを配した南北軸の延長にあり、提案では「平和であることを喜ぶ場にしたい」としている。

 JVにはほかに、フジタ広島支店、東畑建築事務所広島支所、シーケィ・テック(以上中区)、広成建設、復建調査設計広島支社、あい設計(以上東区)、環境デザイン研究所(東京)が加わる。環境デザイン研究所は、マツダスタジアム(南区)を設計した建築家が会長を務めている。

 建築や環境を専門とする審議会の委員7人の採点の平均で、このJVは100点満点中87・278点を獲得し、次点を7・958点上回った。審議会会長で早稲田大の古谷誠章教授(建築設計)は「街中心部に緑地とスタジアムが共存する場は世界でも珍しい。サッカーはもちろん、都市の楽しさを感じる場になってほしい」と願った。

 スタジアムは2024年の完成を目指し、総事業費は271億円。約3万人を収容し、JVは広場エリアを含めた年間の利用者を270万~310万人と見込んでいる。市は今年4月から価格交渉に入り、5月に仮契約を結ぶ予定でいる。

(2021年4月1日朝刊掲載)

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