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73年ぶり再会 平和発信誓う 広島県被団協の箕牧さん、疎開先友人と

 広島県被団協理事長代行を務める北広島町の箕牧(みまき)智之さん(79)が、戦時中の疎開先として一時暮らしていた広島市安佐北区で、73年ぶりに友人と再会した。戦時を互いに振り返り、若い世代への平和の発信を誓い合っている。

 友人は、同区安佐町飯室の生け花講師伴(ばん)敏子さん(85)。箕牧さんが昨年春、旧JR可部線駅舎を改装したカフェを訪れたのがきっかけで、カフェ常連客の伴さんとの再会につながった。

 箕牧さんは1945年3月の東京大空襲を機に、父親の実家近くの飯室に疎開。近所に住んでいた伴さんと親しくなり、毎日のように一緒に遊んでいた。

 8月6日―。「鏡に光が反射したように、一瞬ピカッとなった」と声をそろえる。箕牧さんは母に連れられ、父を捜して入市被爆した。伴さんは可部線で運ばれてくる遺体を見て眠れない日々が続いた。箕牧さんは47年に北広島へ引っ越し、交流は途絶えた。

 再会から1年。戦争がもたらす貧困のつらさや、平和の尊さを語り合ううち、経験を若者へ伝えたいとの思いが強まっている。2人は「一緒に平和への思いを発信したい」と話している。(重田広志)

(2021年4月5日朝刊掲載)

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