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はだしのゲン閲覧制限の結論延期 松江市教委会議 

 松江市教委が漫画「はだしのゲン」の閲覧制限を小中学校に要請した問題で市教委は22日、教育委員会議で初めて同問題を議論した。「論点整理が必要」と結論を持ち越し、26日の臨時会議で要請の継続か撤回を決める方針を示した。また、市教委事務局が各学校に閲覧制限を求めた背景に「市議への配慮」があったことが判明した。(樋口浩二、石川昌義)

 教育委員会議には委員5人が出席。事実関係に質問が集中する一方、市教委事務局は、学校側に閲覧制限を要請した経緯を説明し、清水伸夫教育長が「当時の教育長が独自で判断したことは適切でない。おわび申し上げる」と陳謝した。

 事務局側は、要請が強制力を学校現場に与えた点にも言及した。学校側に口頭で2度、閲覧制限を求めた古川康徳副教育長は「お願いが圧力になったかもしれない」と振り返った。一方、学校図書の選定は「校長の判断で基準を設ける」と、学校側に権限があることを明言した。

 各委員は会議後の記者会見で、26日の臨時会議で意見表明した上で、結論を出す意向を表明した。閲覧制限の根拠に、市教委が「斬首や性的暴行」などの「暴力的な描写」を挙げたのに対し、内藤富夫委員長を含む委員3人は、描写の内容を判断材料にしない考えを表明。表現の自由を侵害していないかどうかに加え、閲覧制限を決めた手続きの妥当性を軸に議論する意向が主流を占めた。

背景に「市議への斟酌」

 教育委員会議で閲覧制限を要請した経緯を問われた市教委の須山敏之・教育総務課長は「市議会のやりとりを聞く中で、過剰な斟酌(しんしゃく)をしてしまったのかもしれない」と答弁した。「ゲン」撤去を求める市民の陳情を市議会が昨年12月の定例会で不採択とした12日後、市教委が学校側に制限を求めている。

 市議会教育民生委員会の審議では、一人の議員が、作品中の「過激な文章や絵」を指摘。「不良図書」と述べた。一方、平和教育での利用価値を認める声もあった。

 「過剰な斟酌」の内容を記者会見で問われた古川康徳副教育長は、作品を撤去せず、閲覧制限にとどめた対応を強調。「(不良図書との)傾いた意見を取り上げたとは思っていない。『平和教育で使う』という側の意見も採用した」と釈明し、否定・肯定両派の市議の意見に配慮したことを初めて認めた。

(2013年8月23日朝刊掲載)
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