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被爆米兵の遺影登録 追悼祈念館に 12人全員そろう

■記者 水川恭輔

 被爆米兵を調査している歴史研究家、森重昭さん(72)=広島市西区=が7日、米兵1人の遺影と原爆死没者としての登録申請書を、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(中区)に提出した。広島原爆で被爆死した米兵は12人とみられ、これで全員の登録を終えた。

 海軍の少尉ジョン・ハンシェルさん=当時(23)。森さんが入手した米海軍記録や連合国軍総司令部(GHQ)資料によると、1945年7月25日に操縦していた1人乗りの戦闘機が瀬戸内海沖で撃墜された。30日に爆心地から約400メートル東の中国憲兵隊司令部に連行されたという。

 その後の記録が確認できなかったため、森さんは8月6日に司令部で被爆死したと分析。5月に米国の新聞で紹介し、親族に遺影の登録を呼び掛けると、コロラド州在住のハンシェルさんのめいが書類と写真を送ってきた。

 米軍は1983年、「陸軍8人と海軍2人の捕虜が広島の原爆で犠牲になった」との見解を公表。森さんはこの10人に加え、独自の調査でハンシェルさんたち2人も被爆死したと結論付けた。

 約20年間調査し、2004年から被爆米兵の登録を進めた森さんは「名前と遺影を後世に残すことが犠牲者のせめてもの追悼と思い続けてきた」と話していた。

(2009年7月8日朝刊掲載)

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