×

ニュース

ポーランド元大統領 ワレサ氏が広島を訪問 ウクライナ情勢「戦争許されぬ」

 ノーベル平和賞受賞者でポーランド元大統領のレフ・ワレサ氏(70)が19日、広島市中区の平和記念公園を訪れ、原爆慰霊碑に花を手向けた。ロシアと対立を深めているウクライナ情勢にも触れ「問題解決の手段として戦争は許されない」と強い懸念を示した。

 献花後は、原爆ドームも視察。第2次世界大戦で強制労働に従事した父親が、戦後間もなく亡くなったことを明かし「当時の社会は世界がどこに向かっているのか気付けなかった。悲劇を二度と繰り返してはならない」と強調した。

 その上で、ロシアがウクライナ南部のクリミア半島で軍事圧力を強めている現状に言及。「誰も戦争はしたくない。古くからある国境問題を解決し、状況を悪化させないために、世界が連帯するべきだ」と、外交努力などによる解決を求めた。

 ワレサ氏は歴代受賞者が核や人権の問題を議論する「ノーベル平和賞受賞者世界サミット」のメンバーで、2013年からサミットを支援しているマツダ(広島県府中町)が招いた。19日はマツダ本社を訪ねたのに続き、湯崎英彦知事や広島市の松井一実市長にも面会。14年10月に南アフリカであるサミットへの参加を呼び掛けた。

 ポーランドの民主化運動を主導したワレサ氏は1983年にノーベル平和賞を受賞。90~95年に大統領を務めた。(加納亜弥、河野揚)

(2014年3月20日朝刊掲載)

年別アーカイブ