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社説・コラム

中国新聞 政経講演会 東北アジアの平和と繁栄のための韓・日・中の役割 韓国・慶南大 朴在圭総長

経済と安保 協力しよう

 中国新聞社と中国経済クラブ(高橋正理事長)は25日、広島市中区の中国新聞ビルで、中国新聞政経講演会を開いた。韓国の政治学者で慶南大の朴在圭総長が「東北アジアの平和と繁栄のための韓・日・中の役割」をテーマに話し、経済協力の拡大を通じた「東北アジア共同体」の構築を唱えた。要旨は次の通り。(岡田浩平)

 東北アジアは世界秩序再編の中心舞台だと、私は思っている。その足取りはしかし、領土、歴史問題で滞っている。韓国、日本、中国が過去を反省しながら顧みて、未来志向の認識を築く必要がある。

 最近、日中間の歴史問題が民族主義の過熱を招いている。これが領土紛争に展開した場合、軍事衝突につながる憂慮が大きくなっている。一例が尖閣諸島の問題だ。周辺国にも緊張感を与えている。可能な限り外交で問題を解決し、経済協力や人的交流を広げて両国関係を安定させるのが望ましい。

 韓国と日本は、競争も協力もある「同伴者」として歩んでいる。韓国での日本文化の開放、日本での韓流ブームで両国民はさらに近づいている。韓日は自由貿易協定(FTA)を早く結び、包括的な協力関係へと発展させねばならない。

 ネックは歴史問題だろう。不幸な過去から解放されるには、過去を直視しなければならない。1998年の金大中(キムデジュン)大統領と小渕恵三首相の「21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ共同宣言」を思い返す必要がある。「痛切な反省の意」を込めた村山富市首相談話(95年)も記憶し続けねばならない。

 何よりも「歴史の衝突」が「政治の衝突」へ結びついてはならないと、みんなが自覚するべきだ。私は、歴史問題は学者や外交官に任せ、政治の指導者は「沈黙の知恵」を発揮しなければならないと言ってきた。

 東北アジアの国々は前世紀の葛藤と対立の歴史を乗り越え、平和と協力、共存と共栄の新しい歴史を記していかなければならない。そのための地域共同体構築の2本柱は、経済と安全保障だ。肯定的なサインはある。韓日中3国間で、経済の相互依存が増している。

 新秩序の構築には、安全保障を不安定にしている北朝鮮が核への執着を捨て、果敢な開放と協力を通じて東北アジアの平和、協力、秩序をともにすることも欠かせない。寛容と包容の精神で、相互利益のために手を結ぶことが必要だ。

パク・ジェギュ
 慶南大極東問題研究所長などを経て1986年に総長。99年から金大中政権で統一相を務めた後、2003年から再び慶南大総長に就任した。68歳。

(2013年4月26日朝刊掲載)

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