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ヒストリー

ヒロシマの記録1983 2月


1983/2/1
西ドイツ訪問中のブッシュ米副大統領が記者会見。ソ連中距離核ミサイルSS20の極東移転に関し「欧州中距離核戦力削減交渉は米・欧とソ連とのやや利己的な取引であり、その結果、日本や中国に脅威を増す。別のタイプの交渉が必要に」と述べる
1983/2/1
アンドロポフ・ソ連書記長がレーガン大統領の首脳会談提案(1月31日)を「新味がない」と拒否
1983/2/1
ジュネーブ軍縮委員会の春会期が始まる。1982年度ノーベル平和賞受賞者メキシコのガルシア元外相が「米のパーシング2が配備されると、ミサイル発射から目標到達までの時間はわずか6分に短縮され、偶発戦争の危険が極めて大きくなる」と警告
1983/2/1
2つの広島県被団協など4被爆者団体が広島市に在米被爆者が広島で治療を受ける渡航費援助を要請
1983/2/1
シュルツ米国務長官が日本記者クラブで記者会見。再開した欧州中距離核戦力(INF)削減交渉に関連して「米の対ソ提案は、単に欧州正面だけでなく、日本、中国の戦域からも地上発射の中距離核ミサイルを撤廃させるもので、すでに日中両国の射程内に配備済みのミサイルも含む」と言明
1983/2/1
マクナマラ元米国防長官ら米、英、西独の元有力国防関係者で組織する国防研究委員会(委員長、リー退役米海軍提督)が、西側核保有3国に核兵器の第1使用放棄宣言をするよう声明
1983/2/2
宇宙軍拡競争を阻止するため、米下院超党派の76議員が宇宙兵器禁止の決議案を議会に提出
1983/2/2
米ソ戦略兵器削減交渉(START)がジュネーブで2カ月ぶり再開
1983/2/3
米ネバダ核実験場の現場作業員が、白血病にかかったのは被曝が原因と、政府を相手取って起こした訴訟で、米ラスベガス連邦地裁が核実験と白血病の因果関係を否定する初の判断。元作業員の訴えを却下
1983/2/3
ソ連共産党中央委員会が民社党に「日本が非核三原則を順守するなら、ソ連はしかるべき保障を日本に与える用意がある」と書簡
1983/2/3
動力炉・核燃料開発事業団人形峠事務所で残存ウランの分析中にビーカーが破裂。職員1人死亡
1983/2/5
米の小説家マーク・トゥエーンの物まねで反核・平和を訴えているワシントン市在住の俳優ウィリアム・マクリーン氏が広島大で公演
1983/2/6
核凍結運動の全米組織「核兵器凍結キャンペーン」が総会で、1984年大統領選挙で「核凍結運動を支持する人物に投票」など、政治活動に参加の方針決める
1983/2/7
米新型巡航ミサイルの対英配備に反対する女性活動家らがグリーナムコモン基地に侵入。75人が逮捕
1983/2/7
米国防総省が「ソ連の原子炉衛星コスモス1402号の炉心部分がブラジル沖合の南大西洋上で大気圏に突入」と発表。炉心部分は大気圏内で燃え尽きた模様
1983/2/7
広島県朝鮮人被爆者協議会が広島市の原爆慰霊碑前で米韓合同軍事演習に抗議し座り込み
1983/2/7
米国防総省当局者が「大陸間弾道ミサイル(ICBM)を高空で迎え撃つ弾道弾迎撃ミサイル(ABM)の新規開発を目指し初の本格的な発射実験」と明かす
1983/2/8
国連宇宙平和利用委で日本代表部の林安秀参事官が原子炉衛星打ち上げ停止を要求
1983/2/8
ジュネーブ軍縮委員会で李鹿野・中国代表が欧州中距離核戦力(INF)削減交渉に対する立場を初めて表明。「交渉結果が第三国の利益を侵害してはならぬ」とSS20など中距離ミサイルの極東移転をけん制
1983/2/8
防衛庁の新井弘一参事官が衆院予算委員会で「ソ連の中距離核ミサイルSS20が極東に100基配備」と明らかに
1983/2/9
米カリフォルニア州の核凍結グループ代表の実業家ハロルド・ウィレンズ氏が「広島で米ソ首脳会談を」とレーガン大統領に提案。大統領は「考慮する」
1983/2/10
ジュネーブ軍縮委員会で今井隆吉軍縮大使が「ソ連ミサイル極東移転はアジアに新たな脅威」と演説。「極東を含む世界各地域の安全保障を損なわないよう米ソが解決を」
1983/2/11
米国防総省筋が「ソ連は史上最大のタイフーン級原子力潜水艦から射程8,300キロの新たな潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の試射に成功」と明かす
1983/2/11
米エネルギー省が「ネバダ核実験場で11日、地下核実験を行った」と発表。爆発の規模は20キロトン以下で、米の核実験はこの年初めて
1983/2/12
爆心地から1.7キロの長崎市立稲佐小学校に「原子爆弾殉難平和の碑」除幕式(「長崎年表」)
1983/2/12
「長崎平和推進協会」(会長、本島等長崎市長、860人)設立総会。理事長に秋月辰一郎聖フランシスコ病院医長選ぶ(「長崎年表」)
1983/2/12
米信託統治領のミクロネシア・ベラウ(パラオ)共和国の住民投票で「核持ち込み認めず」が過半数
1983/2/12
荒木広島市長が米核実験に抗議する電報をマンスフィールド駐日米大使に打つ
1983/2/13
日本被団協の路線を批判する大阪、愛知など15府県の代表18人が岡山市で、内部組織「全国被爆者問題を考える会」を発足。「政府になんでも反対するイデオロギー中心の取り組みでは被爆者援護法制定は実現しない」
1983/2/14
放射性廃棄物の海洋投棄を規制する海洋投棄規制条約(ロンドン条約、52カ国加盟)の締結国会議がロンドンで開幕。核廃棄物海洋投棄の全面禁止提案を協議
1983/2/14
米南カロライナ州と地元の環境保護グループ「自然資源保護協議会」13団体が共同で、サバンナリバー核施設の軍用原子炉再開に関し、十分な環境影響調査を行うまで運転を認めないよう求める集団訴訟をワシントン連邦地裁に起こす。州当局者が明かす
1983/2/14
米核実験に抗議し、原爆慰霊碑前など広島県内10市7町26カ所で被爆者らがこの年初の座り込み
1983/2/14
広島、長崎市長が23カ国73都市にメッセージを送った世界平和都市連帯の呼びかけに、姉妹都市ホノルル、原発事故があったスリーマイル島近くのハリスバーグ、核兵器削減の住民投票を実施したバンクーバーの3都市から賛同の返書
1983/2/15
岩国市の朝鮮人被爆者、権泰玉さんが3年かけて被爆証人を見つけ、被爆者健康手帳を再申請
1983/2/15
平和運動にも尽くした京都・清水寺の大西良慶貫主が死去。107歳。1981年には京都の宗教家70人とともに核兵器廃絶を訴える平和アピールを発表
1983/2/15
東京・町田市で「被爆者」とば声を浴びるなどした被爆教師が生徒を刺傷
1983/2/15
米軍事筋が「ソ連は8日に新型の固形燃料推進の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験に成功」と明かす。第2次米ソ戦略兵器制限条約(SALT2)の自主規制違反かと米当局は緊張
1983/2/16
米紙ニューヨーク・タイムズが米空軍当局者の話として「空軍は現在配備されている空中発射巡航ミサイル(ALCM)の発注を本年度で停止し、新型『ステルス』巡航ミサイルの生産を開始」と報道
1983/2/16
「広島、長崎における原爆放射線量再評価に関する日米合同ワークショップ」が長崎市で始まる。放射線影響研究所主催で、ローレンス・リバモア米国立研究所W・E・ロー博士や田島英三原子力安全委員会副委員長ら日米の専門家80人が、広島、長崎の放射線被曝線量を見直しへ
1983/2/17
ソ連が極東で12番目の中距離核ミサイルSS20の発射基地を完成。日本、中国、韓国を射程とする実戦配備は計108基に。米軍事情報筋が明かす
1983/2/17
米エネルギー省が「ネバダ実験場で地下核実験を行った」と発表
1983/2/17
ロンドンで開会中の海洋投棄規制条約(ロンドン条約)の第7回締結国会議が、新設専門委員会による科学的安全性の結論が出るまで、核廃棄物海洋投棄を一時停止する決議を承認。海洋投棄を計画している日本に痛手
1983/2/18
米の科学者を中心とした「第一撃核兵器に関するワシントン会議」に「核第一撃症候群」の著者オルドリッジ氏ら100人が参加。「核第一撃」に強く反対で一致
1983/2/18
東京・町田市で起きた被爆教師の生徒刺傷事件で、全国原爆被爆教職員の会が実態調査に着手
1983/2/19
茨城県東海村の動力炉・核燃料開発事業団の使用済み核燃料再処理工場で18、19の両日放射能漏れ事故。操業を全面休止
1983/2/19
荒木広島市長が米核実験抗議電報をマンスフィールド駐日大使に打つ。広島市の原爆慰霊碑前で被爆者や市民らが座り込み
1983/2/19
東京・町田市の忠生中学校のPTA総会が、生徒を刺傷させた被爆教師の嘆願運動決める
1983/2/19
「原爆犠牲ヒロシマの碑」建設委員会が、募金協力の学校などに、爆心地を流れる元安川から発掘した原爆瓦600セットを贈る
1983/2/20
西ドイツの反核・環境保護運動の「緑の党」がニュルンベルクで核戦争を告発する模擬国際法廷。「核、生物、化学兵器の使用および使用計画は国際法違反」と判決。広島市から小倉桂子さんも陪席し「SS20やパーシング2などの中距離核兵器は欧州を第2の広島にしようとしている。戦争を抑止するために核は必要なのか」と訴え
1983/2/20
米原子力空母エンタープライズ入港予定の佐世保市で日本原水協など700人が入港反対を訴えデモ
1983/2/21
中曽根首相が衆院予算委員会で非核三原則について「私の勉強不足。国是と認める」と言明
1983/2/23
安倍晋太郎外相が、核兵器の持ち込みを一切拒否する方針を米に改めて申し入れる考えを表明
1983/2/23
グロムイコ・ソ連外相が「中距離核ミサイルSS20は日本に向けられたものではない」と言明
1983/2/24
東京・町田市で起きた被爆教師による生徒刺傷事件で、総評被爆者協議会連絡会議の隈元寅教事務局長、原水禁国民会議の関口和事務局長ら13人が、町田市の笠原邦雄助役、南保正道教育長に「事件の背景に生徒が『原爆』『被爆者』とば声を浴びせるなど、被爆者に対する理解不足と社会的差別があった」と、被爆者への正しい理解を求めるよう申し入れ
1983/2/25
1981年2月に広島から世界に向け平和アピールをしたローマ法王ヨハネ・パウロ二世の平和アピール記念碑が広島平和記念館で除幕。広島県世羅郡甲山町出身の杭谷一東氏が制作奉仕
1983/2/25
カナダ全国映画審議会製作のアカデミー賞候補ドキュメンタリー「もしこの地球を愛するならば」の上映を、米司法省が「政治的宣伝」と差し止め。ケネディ上院議員らが「スクリーンにソ連並みの鉄のカーテン」と批判、駐米カナダ大使も米国務省に説明を求める
1983/2/26
広島県内で最初に非核宣言をした広島県安芸郡府中町の住民が平和教育をテーマに初の交流集会開く。地域に密着した平和教育の推進を確認
1983/2/27
山口県上関町で中国電力の原子力発電所建設計画に反対する町内のグループが統一組織「原発に反対し、上関町の安全と発展を考える会」を結成
1983/2/27
米原子力規制委員会が全米の加圧水型炉48基に点検命令。25日に発生したニュージャージー州セイラム原子力発電所1号機の停止装置不作動事故を重視
1983/2/28
米航空宇宙専門誌エビエーション・ウィークが「米国防総省がソ連海軍力の外洋への展開を食い止めるため、巡航ミサイルの日本配備を検討」と報道
1983/2/--
広島、長崎の被爆線量の再調査をしている京大原子炉実験所が「広島、長崎の放射線被害は中性子線よりもガンマ線による被害が大きい」との米研究結果を追認。米ロスアラモス国立研究所の解析データを参考に気象状況などを加え模擬計算。中性子は爆心から1、2キロの地点で長崎原爆が従来言われていた量の三分の一、広島原爆が五分の一から九分の一と判明
1983/2/--
「広島、長崎県以外に居住する被爆者への医療機関の対応は不十分で、被爆者の半数が不満や不安」。行政管理庁長崎行政監察局が調査結果まとめる

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