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被爆体験 ネット発信へ 高齢化で広島の市民団体

■記者 林淳一郎

 広島市の市民団体「ヒロシマの心を伝える会」(松原美代子代表)は、被爆者が自宅にいながらインターネットを利用して体験を証言する活動に乗り出す。被爆者の高齢化が進む中、体に負担なく核兵器廃絶の訴えを広げる。

 被爆者の松原さん(77)=南区=はこれまで市内の大学などに赴き、テレビ電話システムを使って国内外の若者に体験を話したことがある。しかし、2006年に脳梗塞(こうそく)を患い、今年3月には胃がんを摘出。体力への不安がぬぐえなくなった。

 そんな松原さんに会のメンバー、広島市立大大学院特任助教の佐々木克実さん(34)=佐伯区=と会社員神田知恵子さん(35)=南区=が「ネット利用が広がる今こそできる活動に挑戦しよう」と提案した。

 パソコンにカメラとマイクを取りつけ、インターネット上で会議ができる有料サービスを利用する。14日夜には、南区の松原さんの自宅と、10年余り交流がある三重県四日市市の暁小を結び、音声や映像をチェック。松原さんは「体も楽。平和を求める人の輪を広げる新たな試みになる」と喜ぶ。

 本番は8月10日。暁小5年生約80人に体験を語って質問も受ける。将来的には無料インターネット電話「スカイプ」での証言も模索しているという。

(2010年7月16日朝刊掲載)

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