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「9条守り 他国のモデルに」 ベアテ・シロタさんの長女に聞く

 日本国憲法の男女平等条項(24条)を起草するとともに、平和憲法の重要性を訴えた米国人女性の故ベアテ・シロタ・ゴードンさん。長女の弁護士ニコル・ゴードンさん(59)=写真・米ニューヨーク=が広島を訪れたのを機に、憲法改正の動きが出ている現状について聞いた。(二井理江)

  ―広島を訪れた感想は。
 昨年に続き2度目。前回来られなかった次女(19)を連れてきたかった。原爆資料館を見学し、事実を学ばせることができた。

  ―改憲の動きが強まっている今、母のベアテさんが生きておられたら、どんな見解を示すでしょうか。
 母は、一昨年暮れに亡くなる直前まで、病床から日本の新聞の電話取材に応じ、憲法を守るように訴えた。9条を変えるべきではなく、むしろ他国のモデルになるべき憲法なのだ。

 母は5歳から約10年間日本で過ごした後、米国の女子大へ進んだ。その時に戦争が始まり、両親と離ればなれになった。連合国軍総司令部(GHQ)の一員として日本に来たのも、両親の消息を知りたい一心だった。東京の自宅跡は焼け野原。何もかもがなくなっていた。日本も日本人も大好きだった母のショックは大きく、平和の大切さを痛切に感じていた。

  ―憲法で男女平等をうたったにもかかわらず、「男女格差報告」によると、今も日本では女性の地位が低いまま(世界105位)。どうすればいいですか。
 母は、戦前の日本人女性の地位の低さを目の当たりにし、男女平等を起草した。今は、当時に比べれば向上しているだろう。しかし、男女が完全に平等の国は世界中にないし、油断するとすぐに後戻りしてしまう。歴史を学び、女性の人権のために闘い続けなくてはならない。

(2014年5月19日朝刊掲載)

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