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基地のまちは今 「有事は…」岩国に不安 集団的自衛権閣議決定 安保上「やむを得ぬ」

 閣議で集団的自衛権の行使を可能とする憲法解釈の変更が決まった1日、米海兵隊と海上自衛隊の基地がある岩国市では、自衛隊の武力行使が際限なく広がらないための明確な歯止めがないことへの懸念や有事に対する不安の声が市民に上がった。一方、安全保障上やむを得ないとの受け止めも聞かれた。

 夫が海上自衛隊岩国基地隊員の40代女性は「夫が危険な目に遭うのは避けたい。行使容認には賛成できない」と心情を吐露する。

 岩国基地は、米海兵隊と海上自衛隊が共同使用する。基地に近い川下地区の住民の思いは複雑だ。

 旭第一自治会の江波三郎会長(68)は「有事の際、日本が米国と一緒に行動することになれば基地が攻撃対象となる可能性が高まる」と懸念。「いったん認めてしまえば武力行使の範囲はどんどん広がるかもしれない」と警戒する。「戦争が起きないような国づくりこそ大切」。買い物途中だった主婦村中千鶴子さん(62)は訴えた。

 在日米軍再編で極東最大級の基地へと変わる米海兵隊岩国基地。従業員の40代男性は「日米の関係は、日本が守ってもらうだけでは済まされない段階に入った」と受け止める。

 JR岩国駅近くの駅前商店街で紳士服店を経営する藤田信雄さん(51)は「議論が尽くされていない」としつつ、「近隣諸国の脅威に対抗するには、やむを得ない。日本の国際的な立ち位置を考えれば有効な手段ではないか」とみる。

 基地に詳しい市民団体「瀬戸内海の静かな環境を守る住民ネットワーク」の久米慶典顧問は、「海自岩国基地にはヘリコプターで機雷掃海の任務を負う部隊もいる。戦闘地域で活動することになれば市民に戦死者が出かねない」と危惧する。

(2014年7月2日朝刊掲載)

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