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被爆体験を詩人が記す 橋爪さん出版 表紙は広島の29歳が担当

 広島で被爆した詩人の橋爪文さん(83)=東京都=が被爆体験記「ヒロシマからの出発」を出版した。表紙は美術家の保井ちからさん(29)=広島市南区=が担当。2人は「手から手に広がってほしい」と、平和への思いを本に込める。

 橋爪さんは14歳の時、広島市千田町(現中区)の広島貯金支局(爆心地から約1・6キロ)で被爆。頭から大量出血し、高熱や下痢に加えて長年、原因不明の病気を患った。被爆50年を前に友人から「書かなきゃ」と勧められて少しずつ書きためた。東日本大震災による福島第1原発事故にも触れ、「日本の平和憲法のこころが、ひたひたと寄せる波のように世界の渚(なぎさ)に満ちて行って欲(ほ)しい」と記している。

 表紙を考える際、青を基調にした保井さんの絵本の一ページが目に留まった。次々に変化する空、海の青が好きなのに加え、「人によって見方が変わる抽象画が好き。未来につながる」と橋爪さん。原稿を読んだ保井さんは「戦後の厳しい中でも人と人とのつながりや柔らかさを感じた」と、水を引いた中に青色を落とした水彩画を描いた。

 A5判、304ページ。1944円。トモコーポレーションTel082(502)0428。(二井理江)

(2014年7月28日朝刊掲載)

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