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比モンテンルパ市訪問 井原の住民ら 戦犯助命に尽力の故住職が縁 先人の功績たどる

 岡山県井原市の住民たちが27日から31日まで、フィリピンのモンテンルパ市を訪問する。戦後、同市のニュービリビット刑務所にいた日本人戦犯の助命と釈放に尽力したのが井原市にある宝蔵院の故加賀尾秀忍(かがお・しゅうにん)住職(1901~77年)だった縁。現地で刑務所などを見学し、先人の功績をたどる。(小川満久)

 訪問団は、モンテンルパ市との交流を続ける井原日中友好経済交流協会の会員や、備中神楽師たち14人。刑務所や日本人墓地を訪ねるほか、28日に同市が主催する日比友好祭にも参加し、フレスネディ市長の前で備中神楽を披露する。

 ニュービリビット刑務所の教誨師(きょうかいし)だった加賀尾住職は1949年から4年間、現地に滞在した。死刑囚2人が帰国を願って作詞、作曲した歌を日本に送り、歌手渡辺はま子が「ああモンテンルパの夜は更けて」としてレコード化。加賀尾住職が、この歌のオルゴールを当時のキリノ大統領に渡して釈放を求め、53年に日本人108人の帰国に結び付けた。

 昨年10月、モンテンルパ市の要請を受けた日比親善同友会(マニラ市)の大沢一郎会長が井原市を訪れ、住民たちと交流を深めた。今春にはモンテンルパ市から招待状が住民に届き、訪問を決めた。

 井原日中友好経済交流協会の高橋雅広理事長は「加賀尾住職の足跡をたどりつつ、両市の友好がさらに深まる旅にしたい」と話している。

(2014年10月26日朝刊掲載)

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