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被爆証言 海外で切々 サーローさん ビデオ収録

 カナダ・トロント市に住み、広島での被爆体験を英語で発信しているサーロー節子さん(82)が17日、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(広島市中区)で、証言ビデオを収録した。被爆者に対する差別や無関心が根深い海外で核兵器廃絶を訴えてきた戦後を振り返り、「非人道兵器を後世に残さないよう、一人一人が行動することが大切」と力強く呼び掛けた。

 南区出身のサーローさんは13歳の時、動員されていた二葉の里(現東区)の陸軍第二総軍司令部で被爆。疎開先から帰省中の姉やおいを亡くした。ビデオカメラの前で「極限状態で心がまひしたのか涙も出なかった。自分は人でなしだと悩んだ」と吐露した。

 1954年、社会福祉を学ぶため米国へ留学。同年の米国によるビキニ水爆実験を現地での記者会見で批判すると、匿名で脅迫の手紙が届いたという。「悩みもしたが、被爆の事実を伝えるのが私の使命と確信した」と語った。

 55年の結婚を機にカナダへ移住後も証言活動に尽力した。公益財団法人ヒロシマ・ピース・センターから16日、谷本清平和賞を受けたのを機に一時帰国した。ビデオは同館が編集し、来春から館内やホームページで公開する予定。(田中美千子)

(2014年11月18日朝刊掲載)

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