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世界遺産価値「影響なし」 原爆ドーム近くにかき船移転検討 広島市、議会で認識示す

 広島市は11日の市議会一般質問で、中区の元安川にある船上飲食店、かき船「かなわ」が検討している原爆ドーム南約200メートルの区域への移転に関し、原爆ドームの世界遺産としての価値に影響はないとの認識を示した。

 世界遺産選定の調査や評価に当たる国際記念物遺跡会議(イコモス)の国際委員会の専門家委員たちは2006年11月、バファーゾーン(緩衝地帯)へのマンション建設をきっかけに国、県、市へ勧告。開発によりドーム周辺の景観を損ねないよう求めている。

 この日、市議が勧告との整合を聞いたのに対し、経済観光局の谷本睦志局長は「かなわの移転計画では、勧告で懸念される状況が発生するとは考えていない」と答えた。

 加えて、かなわに平和関連の情報発信や、移転工事で被爆瓦が出た場合の保存展示などを求めていると説明。「広島の食文化と平和を愛する心を伝えられるよう、しっかり対応させたい」と述べた。

 国は先月、移転候補地を営利活動ができる特別区域に指定。近く、かなわに占用許可を出す。移転をめぐっては平和活動に関わる市民から反対の声が出ている。(菊本孟)

(2014年12月12日朝刊掲載)

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