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連載・特集

闘うマララさん 心に刻む 庄原の永末小6年 スピーチを見て作文に 

 ペンと本を手に取ろう。それこそが最強の武器(ぶき)になる―。今年のノーベル平和賞の受賞者の1人、パキスタンのマララ・ユスフザイさん(17)が、世界に向けて発言を続けています。女子の教育に反対する武装勢力(ぶそうせいりょく)に襲(おそ)われても、揺(ゆ)らぐことのない信念と情熱(じょうねつ)。マララさんのスピーチに感動した庄原(しょうばら)市の永末(ながすえ)小6年生が、作文に思いをつづりました。(西村文)

 マララさんは10日、ノルウェーで開かれた授賞(じゅしょう)式に出席し、平和賞を受け取りました。「マララさんってどんな人?」。受賞が決定した10月、永末小の6年14人はマララさんのことを知るために、昨年アメリカの国連本部で行われたスピーチの映像(えいぞう)を見ました。

 まず驚(おどろ)いたのは「世界には学校に行けない子どもがたくさんいる」ということでした。「学校に行くのはあたり前、勉強はめんどくさいと思う時があるので、とてもびっくりしました」と、自分を振(ふ)り返ったのは藤原安悠奈(ふじわら・あゆな)さん。「テロリズムや戦争などで教育を受けられないということに、僕(ぼく)は腹(はら)が立ちました」と松浦正樹(まつうら・まさき)君は力を込めます。

 パキスタンの武装勢力は「イスラム教の教えに反する」として女子の登校を禁止(きんし)しました。「勉強したい」という思いをブログで世界に訴(うった)え続けたマララさんは、15歳(さい)の時、武装勢力に銃(じゅう)で撃(う)たれました。奇跡的(きせきてき)に回復(かいふく)し、現在(げんざい)は家族とイギリスに住んでいます。

 「撃たれて『勇気が生まれた』と言うマララさんはすごい」と神田雅人(じんでん・まさと)君。井上亜優(いのうえ・あゆ)さんは「マララさんのように撃った兵士を憎(にく)まないことは、自分にはできないかも」。石妙直樹(いしみょう・なおき)君は「自分も危険(きけん)なのに、世界の平和や子どものことを思っている姿(すがた)が立派(りっぱ)」と感心します。

 みんなの心を強く捉(とら)えたのは「ペンや本が最も強力な武器」という言葉でした。「マララさんにとって、言葉が武器と分かりました」と書いたのは森内凌(もりうち・りょう)君。自分の考えを発言し、行動することの大切さを学びました。

みんなの思い

久山花怜(ひさやま・かれん)さん
「日本は完全に平和ではありません。暴力(ぼうりょく)、虐待(ぎゃくたい)などをなくしていけば、平和に近づけると思います」

熊原奈保(くまはら・なほ)さん
「武装勢力の兵士が教育を受けていたら、たくさんの人がテロ行為(こうい)を受けずにすんだと思います」

佐々木郁歩(ささき・いくほ)さん
「パキスタンの子どもにペンなど文房具(ぶんぼうぐ)を送れば、遠くに住んでいる私も役立つのではと考えました」

式地暖人(しきじ・はると)くん
「今の自分の環境(かんきょう)に感謝(かんしゃ)して、今を生きていきたいです」

永井晴奈(ながい・はるな)さん
「世界の子どもや女性(じょせい)のために、学校で行っているキャップを集めるユニセフ活動に参加していこうと思います」

三上芽依(みかみ・めい)さん
「英語だったので正直に言うと意味はよく分かりませんでした。声をよく聞いたり表情(ひょうじょう)をよく見たりすると、マララさんが伝えたいことが分かるようになりました」

水野梨子(みずの・りこ)さん
「私は自分に自信がなくて、行事などの時、すごく心配になります。スピーチを聞いて、何か自分に自信が持てたような気がしました」

マララさんの発言

 「私は(全ての子どもが教育を受けられる)夢(ゆめ)の国へ向かう旅の途中(とちゅう)にいる。転んでも立ち上がり歩き続ける」(2012年12月、入院中の病院からのメッセージ)

 「テロリストは銃弾(じゅうだん)で私たちを黙(だま)らせようとしたが失敗した。タリバン(武装勢力)の子どもたちにも教育を受けさせてほしい。ペンと本を手に取ろう。それこそが最強の武器になる。教育こそが唯一(ゆいつ)の解決策(かいけつさく)だ」(13年7月、国連での演説(えんぜつ))

 「世界中で少女の教育の権利(けんり)が奪(うば)われている。誰(だれ)ひとりとして忘(わす)れ去られてはならない」(13年9月、アムネスティ・インターナショナルの「良心の大使」賞を受賞時の演説)

 「誰もみな才能(さいのう)があり、誰もが特別。自分を信じて頑張(がんば)ろう」(14年8月、国連イベントで)

 「1人で声を上げているわけではありません。私は教育を奪われた6600万人の少女(の代弁(だいべん)者)なのです」「全ての子どもが学校に行くのを見届(みとど)けるまで、闘(たたか)い続けます」(14年12月、ノーベル平和賞の受賞演説)

(2014年12月14日朝刊掲載)

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