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繰り返さぬため新たな連帯を 「原爆とホロコースト」講演会 イスラエル出身准教授 共通点や交流史解説 東京

 原爆投下とナチス・ドイツによるホロコースト(ユダヤ人大虐殺)のつながりを考える講演会が、東京都日野市の明星大であった。米ペンシルベニア州立大のラン・ツビゲンバーグ准教授(38)が共通点や関係者の交流の歴史を解説、新たな連帯を築くよう提言した。

 ツビゲンバーグ氏はイスラエル出身で、祖父母のきょうだいがホロコーストの犠牲になった。原爆投下とホロコーストを「同じ第2次世界大戦での出来事で、別々の歴史と考えるべきではない」と強調。被爆者とアウシュビッツ強制収容所(ポーランド)などの生存者が平和などを訴えていることに「生き残った者が道徳的な発信力を持つようになった起源だ」と指摘した。

 両者の交流などに尽力してきた広島の平和団体「ヒロシマ・アウシュビッツ委員会」の活動を紹介。アウシュビッツ強制収容所が置かれたオシフィエンチム市と姉妹縁組した広島県の旧黒瀬町(現東広島市)による平和記念館の建設が、資金難や住民の反対で頓挫した経緯も説明した。

 「両者のつながりは三滝寺(広島市西区)にあるホロコースト犠牲者の慰霊碑などにとどまっている」と総括。新たな関係を構築するには「被害者としての立場だけに焦点を当てることなく、同じ暴力のメカニズムを繰り返さないために前向きに手を取り合うことが重要だ」と訴えた。

 講演は、世界の核被害などを考える研究者でつくるグローバルヒバクシャ研究会が主催。ツビゲンバーグ氏は昨年9月、広島市立大の客員研究員として来日している。(藤村潤平)

(2015年2月13日朝刊掲載)

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