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基地のまちは今 米軍との共存へ疑問残る 岩国市愛宕山跡地 防衛局説明会 

目立つ「調整中」 運動施設 期待も

 在日米軍再編による米海兵隊岩国基地への空母艦載機移転に伴い、岩国市の愛宕山地域開発事業跡地で国が進める米軍施設整備について、中国四国防衛局が21日に市内で開いた市民説明会。質疑応答では、市民も利用できる運動施設に期待の声があったものの、米軍家族住宅の詳細や施設区域の法律適用の問題など、「共存」に不可欠な疑問の解消には至らなかった。(野田華奈子、増田咲子)

米軍家族住宅

 市中心部の愛宕山地区には、262戸の米軍家族住宅が建設される。防衛局が用意した24ページの配布資料のうち、家族住宅エリアの説明はわずか2ページだった。

 「配置などをもっと詳しく説明してほしい」との意見に、防衛局は「岩国基地に照会したところ、運用上、警備上の理由から不開示とされた」と答えた。

運動施設の利用

 野球場や陸上競技場などを配置する運動施設エリアに、市民は原則、身分証のチェックなしに自由に立ち入れる。配布資料にあらためて明記された。

 「運動施設を含め米軍に提供する範囲は(日米地位協定に伴う)刑事特別法の適用区域になるのか」との質問に、防衛局は「適用は個別具体的な状況をみて判断される」と回答。緊急閉鎖の可能性や施設の使用料は、米軍などと「調整中」とした。同法の適用区域に無断で立ち入れば、処罰対象となる。

安心安全対策

 米兵や軍属の増加による犯罪や事故を懸念し、「何かトラブルがあっても、家族住宅エリアに逃げ込まれたら日本の警察の捜査が及ばなくなるのでは」との不安の声もあった。

 オブザーバーとして参加した福田良彦市長は「日米地位協定の見直しは継続して要望している」と述べ、防衛局も「平素から米軍に対して隊員の教育や綱紀粛正の徹底を図るよう申し入れをしている」と強調した。

 愛宕山を守る市民連絡協議会の岡村寛世話人代表は「『米軍と調整する』との回答が多く、中身がなかった」とし、3月上旬にも防衛局と市に質問状を出す。芹沢清局長は施設の使用形態などについて「米側と調整後、きちんとした形でお知らせしたい」と話した。

(2015年2月24日朝刊掲載)

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