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台湾の元少年工ら呉訪問へ 広の海軍航空廠などで労働 広島の多山さん5月に案内

 旧海軍の軍需工場で働いていた台湾の元少年工と家族約30人が5月に呉市を訪れる。旧海軍関連施設などを巡り、広地区にあった第11海軍航空廠(しょう)の元従業員との面会も予定している。元少年工は80~90代。台湾との交流に取り組んできた広島市中区の多山順一さん(64)は「日本への最後の旅になるかもしれない」と受け入れ準備を進めている。(広重久美子)

 少年工は1943年から日本に渡航、高座海軍工廠(神奈川県座間市)を拠点に約8千人が全国に派遣されたという。第11航空廠では航空機の製造などに携わっていたとされる。元少年工でつくる「台湾高座会」によると、約200人いたという。

 多山さんは、台湾高座会と親交があり、呉訪問について相談された。「少しでも喜んでもらえるなら」と案内を引き受けた。

 5月中旬に2泊3日で呉と広島の両市を巡る。第11航空廠跡、45年5月の空襲などの犠牲者をまつる工僚神社(呉市広両谷)旧海軍墓地(同市上長迫町)などを訪問。大和ミュージアム(同市宝町)の見学も考えている。

 一行には第11航空廠で中隊長や寮長を務めた黄茂己さん(92)もいる。呉市を戦後訪れた同航空廠の元少年工はいるが、黄さんは70年間一度も来ていないという。「日本は祖国」と語る言葉を聞いてきた多山さんは「できる限り思いに応えたい」と心に決めている。

(2015年3月15日朝刊掲載)

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