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『フクシマとヒロシマ』 土壌採取し汚染調査へ 最大1万地点 国や広島大

■記者 山本洋子、河野揚

 福島第1原発事故を受け、国が原発の西60キロ、南北100キロの範囲で、土壌汚染の調査を今月下旬に始めることが18日、分かった。広島大や大阪大などが協力し、最大1万点のサンプルを採取。放射性物質の蓄積量を地図に落とす。農業再開など住民生活の立て直しに役立てるため。プロジェクト内容は近く発表する。

 土壌汚染については、これまで文部科学省と米エネルギー省が航空機を使って、原発から80キロ圏内の大気を調査し推定値を発表している。今回は実際に土壌を調べることでより精度の高い値を把握する。

 複数の関係者によると、今月下旬から6月中旬にかけて調査する。宮城県丸森町の一部を含む範囲を2キロ四方、1500エリアに分け、1エリア当たり5~7地点の土を採取。放射性物質のヨウ素、セシウム、ストロンチウムなどの土壌蓄積量を測定し、土壌汚染マップを作る。

 採取や分析などに当たるのは広島大や大阪大、東京大、筑波大、気象研究所(茨城県つくば市)などの研究者100人以上。チェルノブイリ原発事故での経験を持つロシアのほか、米国、フランスの研究者も参加する見込み。広島大は、原爆投下後に降った「黒い雨」やチェルノブイリでの調査研究のノウハウを生かす。

 参加する研究者の一人は「半減期(元の物質の半分が放射能を失うまで)が短いヨウ素を正確に測定する時間的リミットが迫っている。梅雨で他の物質も流される前に着手したい」としている。秋にも2度目の調査を予定している。

(2011年5月19日朝刊掲載)

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