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上関埋め立て免許失効検討 「あり得ぬ」「英断を」 地元 戸惑いと期待

■記者 久保田剛、田中美千子

 山口県上関町への原発建設計画で19日、予定地の埋め立て免許が延長されない可能性が浮上した。「この段階に来て、あり得ない」と戸惑う推進派。反対派は「県はいますぐ計画撤回の立場に転じるべきだ」と、さらに踏み込んだ決断を二井関成知事に求めた。

 地元で計画を推進する上関町まちづくり連絡協議会の井上勝美事務局長は「福島第1原発の事故は津波対策の不十分さが被害を拡大させた。今後は安全な原発ができる。過疎の町には原発誘致しかない」と強調。推進の立場を取ってきた柏原重海町長は「県から何の打診もなく真意も分からない。コメントのしようがない」と言葉を絞り出した。

 二井知事は「免許の失効か、延長かは白紙」と述べた。中電上関原発準備事務所は「白紙の件にコメントはない。期限内の完工を目指しており、免許延長は検討していない」とした。

 一方、上関原発を建てさせない祝島島民の会の山戸貞夫代表は「県として即刻、反対の立場を示すべきだ。判断が遅すぎる」と批判。予定地を希少生物の宝庫と訴え、県に免許取り消し訴訟を起こしている環境団体の高島美登里代表は「免許交付が早計だったことを自ら露呈した。取り消す英断を」と求めた。

 市民団体「上関原発止めよう!広島ネットワーク」の木原省治共同代表は「原発一辺倒だった国のエネルギー政策も抜本的に転換する時。二井知事は6月の県議会で、しっかりと埋め立て免許を失効させると表明してほしい」と期待した。

(2011年5月20日朝刊掲載)

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