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平和の願い 組曲に結実 原爆ドーム題材 復興高らかに 東区の森川さん 30日初披露

 広島市東区の元音楽教師森川明水さん(81)が原爆ドーム(中区)をテーマに作詞した合唱組曲「原爆ドーム」が完成した。核兵器の悲惨さと、広島の街が復興するまでの様子を歌う。30日に佐伯区五日市中央2丁目の221ホールであるコンサートで初披露される。(高本友子)

 作曲家の坪北紗綾香さん(33)=西区=がピアノ伴奏の曲を付け、計約20分。1曲目は明るく緩やかな曲調で、ドーム前身の県産業奨励館に触れて戦前の街を表現した。2曲目は原爆さく裂の瞬間をイメージしてテンポアップ。「ドームが呆然(ぼうぜん)と街を見おろす」と、草木が焼き尽くされ、川に遺体があふれた惨状を表す。

 3、4曲目は復興の営みや「原子爆弾は二度と使うべきではない」というメッセージなどを歌い上げる。

 森川さんは市立小中学校で音楽教諭をしたほか、退職後も市民合奏団の講師を務めた。ドームを中心にした曲が少ないのに気付き、ことしの被爆70年に合わせて作詞を進めた。

 被爆者5人にも協力を依頼。東区の美甘(みかも)進示さん(89)からは、上柳町(現中区)にいて右半身に大やけどを負うなどした体験を聞いた。被爆直後を「くらやみの中で」と表現し、原爆被害を「人間は知るべきだと」という一文も加えた。

 森川さんは「音楽は想像力を促す。この曲で平和を望む人が増えてくれたら」と願う。30日は午後4時からのコンサートの中で披露される。一般3500円、高校生以下2500円で、定員90人。ライフワンミュージックTel082(922)0028。

(2015年5月26日朝刊掲載)

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