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広島 初の内部被曝痕 爆心地4.1キロ がん組織で発見 広島・長崎大

 広島原爆で放射性降下物が検出された地区に住み、後に四つのがんを相次いで発症した女性(既に死亡)のがん組織から、内部被曝(ひばく)の証拠となる放射線の痕跡を広島大と長崎大の研究グループが発見した。7日、広島市中区であった原子爆弾後障害研究会で報告した。グループの鎌田七男・広島大名誉教授(血液内科)は「広島原爆で内部被曝の証拠を示せたのは初めて」としている。

 鎌田名誉教授によると、女性は当時29歳で、爆心地から4・1キロの古田町(現西区)にいた。出産直後で動けず、約2週間は自宅周辺の野菜や水を摂取していたという。1998年以降、肺や胃、大腸などにがんを相次いで発症。爆心地から遠いため外部被曝の線量はほとんどなく、多重がんの原因として内部被曝の影響が考えられていた。

 グループは、女性の肺がん組織を特殊な乳剤に浸して乾燥させて撮影。細胞に取り込まれた放射性物質がアルファ線を出し、組織を傷つけた痕跡が、黒い筋で写し出された。原爆直後に同地区の土壌から検出された核物質のうち、半減期の長いウランだけが発症した98年にも残るため、ウランが発生源とみている。

 痕跡の密度から推定すると、肺がん組織が浴びた放射線量は、がんでない肺組織の10倍だった。鎌田名誉教授は「この女性は直接被爆も入市被爆もしておらず、多重がんには内部被曝が関係している可能性が高い。軽視されがちな内部被曝の証拠をつかめた意義は大きい」と話している。

 原爆による内部被曝の痕跡は、長崎の被爆者では、2009年までに撮影されている。(馬場洋太)

(2015年6月8日朝刊掲載)
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