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米軍の母国から <2> 飲酒問題 若い兵士の対策課題

 「訓練の様子は観光客に人気。貴重な観光資源なのよ」。宿泊したホテルの従業員が教えてくれた。米南部フロリダ州にあるペンサコラ海軍航空基地のアクロバット飛行チーム「ブルー・エンジェルス」。青い機体で空を飛ぶ姿は、新兵のリクルートにも役立っている。

 ペンサコラ航空基地は、海軍や海兵隊のパイロットの「卵」が訓練をスタートさせる場所。「ゆりかご」とも呼ばれる。後に在日米軍配属となり、米海兵隊岩国基地(岩国市)に勤務する兵士もいる。

 基地の周辺地域で頭を悩ませているのが、親元から初めて離れて暮らす若い兵士の飲酒問題。同州では、21歳未満のアルコールの所持や購入は認められていない。

 ペンサコラ地域商工会議所の軍事委員会によると、レストランやバー、警察などが目を光らせているものの、若い兵士たちがホテルの部屋を借りて「ルーム・パーティー」を開き、グループで飲酒する事例が目立つという。第三者が兵士の代わりに酒を購入して渡すこともある。

 同商工会議所の軍事委員会は地元の企業、警察、軍の関係者で構成され、情報交換の場を設けている。軍事委員会の担当者は「軍とコミュニティーが腹を割って話せている。起こり得る問題に対し、コミュニティーが効果的な対策を取っていかなければ」と話す。

 海軍は、兵士に懲罰を科すなど独自の取り組みを進めている。日本国内でも在日米軍の兵士たちが酒を飲んで事件・事故を起こし、問題になるケースがある。

 ペンサコラ航空基地で教育や訓練を担当するダグラス・ヒーディー司令官は「基地の中で勤勉であっても、娯楽を求めて外出した際に問題を起こすことがある」とし、「その数は少なくても、米国の代表としてふさわしくない。許してはいけない」と強調した。(増田咲子)

(2015年6月17日朝刊掲載)

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