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旧日銀で被爆資料展 広島市 初の試み 17年度まで

 広島市は15日、被爆建物の旧日本銀行広島支店(中区)で、原爆資料館(同)の収蔵資料の「出張展示」を始めた。より多くの人に被爆の実態に触れてもらうための初の試みで、被爆70年事業の一環。資料館の全面改修で展示スペースが縮小しているのも踏まえ、工事が終わる2017年度末まで続ける。

 地下1階の3室を使い、被爆資料や写真、被爆者が描いた絵(複製)の計104点を並べた。うち、被爆資料は「熱と炎のつめ跡」をテーマにした26点。溶けてぐにゃりと曲がったガラス瓶や、元安川(中区)から見つかった被爆瓦が熱線のすさまじさを伝える。

 写真は同館が米国立公文書館から新たに収蔵したカットが中心。壁が崩れた校舎での授業風景、救護所に横たわる被爆者の表情…。廃虚で生き抜こうとする市民の姿をとらえている。

 資料館見学の後に訪れた、東京都世田谷区の会社員出井勝美さん(64)は「全てを破壊し尽くす原爆の怖さが伝わる。街中にあるので、特に若い人たちが見に来てほしい」と話した。

 展示は1年をめどに更新する。入場無料。午前10時~午後5時。12月29日~1月3日は休館。(田中美千子)

(2015年7月16日朝刊掲載)

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