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[戦後70年 継承しまね] 佐々木少尉に誓う平和 浜田で2日慰霊式 古里思い真珠湾で戦死

 真珠湾攻撃で戦死した佐々木直吉少尉(1913~41年)を思い起こし、平和への願いを継承する活動が出身地の島根県浜田市で続いている。古里や家族を思い28歳で亡くなった命を語り継ごうと、地元有志らが2006年、同市上府町の生家跡近くに顕彰碑を建立。ことしも8月2日午前10時から碑前で10年目の慰霊式を開く。(森田晃司)

 佐々木少尉は32年、呉海兵団(呉市)に入隊。特殊潜航艇の搭乗員となり41年12月8日、太平洋戦争開戦の舞台となったハワイの真珠湾攻撃で戦死。翌42年、山本五十六・連合艦隊司令長官は亡くなった搭乗員9人を「九軍神」とたたえた。

 戦時中、戦意高揚のため多くの子どもたちが参った少尉の墓。戦後は訪れる人が少なくなった。68年には旧海軍関係者らが山本五十六の「感状」を記した墓を新たに建てたが、参拝者は年々減った。

 少尉に再び光を当てようと住民らが寄付金を集め06年、墓から約100メートル南西の市道沿いに顕彰碑を建てた。さらに「佐々木直吉少尉並び九軍神顕彰碑を守る会」を設立し、幅広い層にも協力を呼び掛け。終戦の日の前の8月と、命日の12月8日の年2回、慰霊式を続け、生涯を紹介する冊子を作っては参加者に配っている。

 「平和への思いをくみ取ってほしい。いずれは若い世代にバトンタッチを」と同会の細川末喜事務局長(85)=浜田市日脚町。自身も戦争末期、海軍に入り岩国飛行場(岩国市)で他の基地へ飛ぶ特攻機を見送った経験がある。「もっと多くの若い人たちにも話を聞いてもらいたい」と慰霊式への参加を呼び掛けている。

(2015年7月31日朝刊掲載)

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