×

社説・コラム

『ひと・とき』 米子市立図書館主査・大野秀さん 

鳥取・島根の空襲後世に

 「戦争の全体像に迫る営みに終わりはない。身近な戦災に注目し、事実を次世代に引き継ぎたい」。米子市や松江市など鳥取、島根両県で1945年7月下旬にあった米軍機による空襲資料を集めた展示(23日まで)を、米子市立図書館で企画した。

 山陰線の列車が銃撃され、動員中の学徒や住民を含む45人以上が死亡した大山口空襲(鳥取県大山町)の戦闘報告書や、空襲を受けた湯町水上基地(松江市)の空撮写真など、米軍資料を中心に25点を展示する。「資料のデジタル化で、膨大なデータに光を当てる手法は急速に変化している」という。

 太平洋戦争の資料収集と解析を進める市民団体「豊の国宇佐市塾」(大分県宇佐市)とも連携し、調査方法の助言を受ける。「展示を機に、空襲経験者の新たな証言も得た。資料と証言の検証を地道に続けたい」(石川昌義)

(2015年8月1日朝刊掲載)

年別アーカイブ