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連載・特集

レンズはとらえた戦後70年 平和公園の歩み 慰霊の思い脈々と

 70年前、世界で初めて被爆の惨禍を体験した広島。世界に恒久平和と核兵器廃絶への願いを発信する平和記念公園(広島市中区)も歳月を重ねた。目覚ましい復興を遂げる街並みを優しく見守るように、記念公園は静かに時を刻み続ける。

 1948年の平和祭。英連邦軍司令官たちが参列し「信義を裏切ったから、天罰として広島のような災害をこうむった」などと発言した。戦争の勝者と敗者の現実。原爆ドーム前の「NO MORE HIROSHIMA’S」の文字がかすんで見えた。

 52年に完成した原爆慰霊碑には約5万8千人の犠牲者の名簿が納められた。今では考えられないが、人が立ち入ることができた。少しでも、あの人が載った名簿に触れたい―。終日、人の列が絶えることはなかった。

 近年、平和記念式典へ首相が出席することが慣例となった。ことしは、海外から核兵器保有5大国のうち、中国を除く米国や英国など4カ国の代表も参列し、過去最多となる100カ国の参列が見込まれている。(村上昭徳)

(2015年8月6日セレクト掲載)

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