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被爆経た仙人彫刻 復元 広島東照宮で修理中

 広島市東区の広島東照宮の「平成の大修理」に合わせ、創建から被爆を経て正面の唐門(からもん)を飾る「鉄拐(てっかい)・蝦蟇(がま)仙人彫刻」を、蒔絵(まきえ)作家で日本画家の荒木秀峰さん(68)=安佐北区=たちが復元した。市などの審査を経て市重要有形文化財に認められれば、唐門の両脇に取り付ける。(木原由維)

 彫刻は2枚一組で、それぞれ縦約2. 5メートル、横約0. 5メートル。松の木や仙人が鮮やかに描かれている。荒木さんは、京都市の彫刻師が彫ったケヤキ板に、知人の西本願寺国宝絵師の舟岡恵凡さん=兵庫県=と彩色。日光東照宮(栃木県)で学んだ江戸時代初期の技法を用い、ルビーなどの鉱石を砕いた天然の岩絵の具を使用した。

 荒木さんは、創建の1648年に作られ、被爆した彫刻を調べて復元図を作成。2010年1月に発見された被爆前の唐門周辺の写真も参考にした。荒木さんは「岩絵の具だからこそ表現できる重厚感ある色合い、仙人の生き生きとした表情を見てほしい」と話す。

 東照宮の久保田訓章宮司(79)は「被爆して吹き飛んだ部分も見事に復元されている。苦労を重ねてもらった」と感謝している。

 2008年7月からの平成の大修理は創建以来初の大改修。本年度末終了を目指し、唐門や入り口の石段を改修している。

(2011年8月31日朝刊掲載)

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