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入館料 200円に値上げ 原爆資料館 来年4月 広島市、市議会提案へ

 広島市が来年4月1日から原爆資料館(中区)の入館料を値上げする方針を固めたことが1日、分かった。大学生以上の大人は現行の50円から200円にする。年約1億2千万円の増収を見込み、浮いた財源を被爆建物の保存など平和施策に充てる方針。14日開会予定の市議会定例会に、関連の条例改正案を提出するとみられる。

 65歳以上と高校生も30円から100円へ上げるが、小中学生は無料で据え置く。議案が可決されて大人の入館料が変われば、20円から50円にした1972年以来となる。

 原爆資料館は昨年度予算で年3億3600万円の運営費がかかっているが、収入は入館料とホールなどの使用料計5600万円。赤字分は一般財源で補っている。市は6月の市議会定例会で、入館料の値上げ検討を表明。運営費のうち展示コストをカバーでき、長崎市の原爆資料館と同額の大人200円を参考にするとしていた。

 市は同時に、既存の「原爆ドーム保存事業基金」を被爆建物の保存や原爆被害の実態を伝える施策などにも使えるよう条例改正を提案し、増収分の財源をこの基金に積み増して活用したい考え。

 今回の定例会では、市はほかに自主防災活動を支援する基金をつくる条例案を提案する見通しだ。全国から寄せられた土砂災害の寄付金約1億6千万円を積み立て、防災士資格取得費や防災マップ作りを助成する方針。補正予算案の総額は4億円規模とみられる。(田中美千子、和多正憲)

(2015年9月2日朝刊掲載)

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