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福島に再生の音を 広島の調律師 矢川さん

被爆ピアノで来月公演

 被爆ピアノの再生を手掛ける広島市安佐南区の調律師矢川光則さん(59)が11月、東日本大震災で被災した福島県内で被爆ピアノ公演を開く。惨禍からよみがえった音色で、ヒロシマからフクシマへ復興のエールを届ける。

 ピアノは1932年製のアップライト型。爆心地から1・8キロの広島市中区千田町の民家で被爆し、爆風で突き刺さったガラス片の跡などが生々しく残る。2005年7月、矢川さんが所有者から譲り受けて修復した。

 公演は11月1、2の両日、いわき市を中心に小中学校など5会場を巡回する。東京都の演奏家グループが、童謡やクラシックを演奏する予定。矢川さんも被爆ピアノや自身の活動を紹介する。

 被爆2世の矢川さんは01年、広島県内で被爆ピアノ公演を開始。05年の被爆60年を機に全国公演を展開し、昨年は米中枢同時テロの被害を受けたニューヨークでも開いた。

 矢川さんは「公演を通じ、被災者に少しでも元気を与えたい。ヒロシマとフクシマの絆を強め、平和や原発問題について考えるきっかけにもなれば」と意気込んでいる。(松本恭治)

(2011年10月12日朝刊掲載)

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