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「軍艦大和計画」HP公開 旧海軍資料をデジタル化 呉のミュージアム 国際対応関連も順次

 広島県呉市の大和ミュージアム(宝町)が、戦艦大和の開発や旧日本海軍の動向に関する収蔵資料のデジタル化を進めている。ミュージアムのホームページ(HP)で一部公開を始めており、戦争を伝える遺産を広く知ってもらうのが狙い。(小島正和)

 海軍技術者の松本喜太郎氏(1903~83年)による「軍艦大和基本計画」を今月、HPのデータベース(DB)に加えた。開発に先立ち、艦の型や防御の考え方を検討したノート。建造済みの別の戦艦図面の比較や構造計算など基本データを記した計242ページと添付資料の原本をスキャナーで読み込み、画像320枚として公開している。

 画像のダウンロードや印刷はできないが、一般のパソコンのほかミュージアム4階のライブラリーに置いてある端末でも見ることができる。ミュージアムは「目にする機会が少ない貴重な資料。身近に感じてもらい、研究にも役立ててほしい」としている。

 海軍の国際社会への対応が分かる資料群についても作業が進む。30年のロンドン軍縮会議に随行した軍人の日誌、外務大臣宛ての電報、各国の軍縮状況をまとめた分析資料など計約6万枚。来年度以降、順次公開する。

 デジタル化は、呉市の2014、15年度の調査研究事業の一環。市は大和と大和を生んだ旧呉海軍工廠(こうしょう)の資料を産業、文化的遺産と位置付け、文化庁の補助金を含め2年間で計3500万円を投じる。

 東シナ海に沈む大和をテレビ局が1999年に潜水調査した映像を解析した。ばらばらになった船体の海底の配置図を3D化、8分間の映像にまとめてミュージアムで上映している。

(2015年10月24日朝刊掲載)

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