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「核廃絶の夢 受け継ぐ」 岡山被爆2世・3世の会結成

 岡山県内の被爆者の子どもや孫たちでつくる「岡山被爆2世・3世の会」の結成総会が24日、岡山市中区であった。会員18人と賛同者たち計約70人が参加。呼び掛け人の加百(かど)智津子さん(66)=総社市=を世話人代表に選出し、被爆体験の継承や核兵器の廃絶を目指す運動を進めることを確認し合った。

 岡山県全体を活動範囲とする被爆2、3世の会の設立は初めて。加百代表は「親や祖父母に託された核兵器と戦争のない世界の実現という夢を受け継ぎたい」と抱負を話した。

 会員同士の交流や被爆による健康被害の学習をするほか、会報を年4回発行。親や祖父母の体験、2世として健康に不安を抱える生活を記録し、発信する。初年度は会員20人、賛助会員50人を目標に参加を呼び掛ける。

 3月末現在の県内の被爆者健康手帳所持者は1767人、平均年齢は81・9歳となっている。総会に出席した県原爆被爆者会の土屋圭示会長(87)は「被爆者が高齢化し、少なくなる中、私たちに代わって世界に核廃絶を訴えてほしい」とエールを送った。(永山啓一)

悩み共有 継承へ学びを 被爆2世・3世の会結成 安斎名誉教授 岡山で講演「説得力が違う」

 岡山被爆2世・3世の会結成総会が24日、岡山市中区であり、立命館大の安斎育郎名誉教授(75)=放射線防護学=が「核兵器のない世界を創るのは私たち」と題して講演した。放射線への科学的な理解を深め、核兵器の非人道性を訴えるため被爆2世、3世の役割の大切さを訴えた。(永山啓一)

 原爆や福島第1原発事故の放射線の影響について「心理的、社会的な影響も深刻だ」と強調。福島でも広島や長崎の被爆者と同じように差別や風評被害がある状況を報告した。

 2世や低線量被曝(ひばく)のの人が健康不安に悩む心理として、「がんになる確率はいくら低くても、宝くじと同じように自分が当たると思ってしまう」と解説。悩みを共有し、科学的に学ぶ重要性を訴えた。

 被爆者が訴え続けた核兵器廃絶の考えは、米国や北朝鮮など多くの国で共通の価値観になっていないのが実情。「被爆体験を継承する努力は誰もがすべきだが、2世や3世は説得力が違う。多様な意見を認めながらも、核兵器をなくすという大きな目標には一歩も引いてほしくない」と期待した。

(2015年10月25日朝刊掲載)

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