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岩国市長選 現新が対決 「艦載機」・まちづくり争点

 任期満了に伴う岩国市長選は17日告示され、3選を目指す現職福田良彦氏(45)=自民、公明推薦=と、元市議の新人姫野敦子氏(56)がいずれも無所属で立候補した。在日米軍再編で米海軍厚木基地(神奈川県)から空母艦載機59機の移転が2017年ごろまでに計画される米海兵隊岩国基地とどう向き合い、まちづくりを進めるかが主な争点になりそうだ。投開票は24日。

 福田氏は同市錦見の錦見河川敷運動広場で出陣式に臨み、「(艦載機移転計画に伴う)対立と混乱の後、市民の気持ちを一つにまちづくりの礎を築くことができた」と2期8年を総括。基地と滑走路を共用する岩国錦帯橋空港開港による企業誘致などを実績に挙げ、「人口減少に歯止めをかけ、子育て日本一の岩国を推し進めたい」と訴えた。

 姫野氏は同市岩国の事務所前で第一声を上げた。艦載機移転や市中心部への米軍住宅建設に反対する立場から「これからも大変な状況が続けば、もっとリスクの高いまちになっていく」と指摘。過疎化や医療・福祉の課題に取り組む必要性を強調し、「みなさんと一緒に考え、行動を起こし、住みやすい岩国のために頑張りたい」と力を込めた。

 艦載機移転をめぐっては08年の市長選で、米軍再編に協力姿勢を示す福田氏が、白紙撤回を唱えた井原勝介前市長(65)を破り初当選した。前回12年も井原氏に連勝。今回は、姫野氏を井原氏が代表の政治団体などが支え、与党の後押しを受ける福田氏に挑む構図だ。16日現在の選挙人名簿登録者数は11万5438人。(野田華奈子、大村隆)

岩国市長選立候補者(届け出順、敬称略)

福田良彦(ふくだ・よしひこ) 45 無現②
市長(衆院議員、山口県議、旧岩国市議)通津、法政大

姫野敦子(ひめの・あつこ) 56 無新
無職(看護師、市議)川西、国立岩国病院付属看護学校

丸数字は当選回数。写真の下は、現職(主な経歴)▽現住所▽最終学歴

「基地は」「雇用は」市民注視

岩国市長選告示

中山間地域振興 要望も

 17日告示された岩国市長選は、いずれも無所属の現職福田良彦氏(45)と新人姫野敦子氏(56)による一騎打ちとなった。それぞれ第一声を上げると、選挙カーで市内各地へ。市民からは米海兵隊岩国基地の対策や雇用の確保、中山間地域の支援策など幅広い注文や要望とともに、まちづくりに関する論戦を期待する声が聞かれた。

 岩国基地には2017年ごろまでに空母艦載機59機の移転が予定される。中津町の無職林義男さん(69)は機能強化に伴うリスクへの対応について「安心や安全という言葉だけでは納得できない」と指摘。「住民の声を吸い上げ、騒音対策や道路整備などを進めてほしい」と注文する。

 小学1年と中学2年の娘がいる錦見の主婦山本裕子さん(38)は「基地内の子どもとの交流で異文化や生の英語に触れる機会を増やすなど、基地のまちならではの教育の充実を」と願った。

 市中心部のにぎわい再生への期待は大きい。麻里布町の中通り商店街でブティックを経営する佐伯克明さん(77)は「JR岩国駅の改修を核に、人々が集まり回遊性を生む仕組みを」と話す。御庄のハウスクリーニング業秋山修人さん(43)は「都会への若者の流出を止める施策が必要。映画館などの娯楽施設を誘致して」と望む。

 中山間地域の活力づくりや暮らしの支援充実を求める声も相次いだ。錦町の元錦町自治会連合会長中村勉さん(86)は「山林資源を生かして産業を育成し、若者が働ける場を。U、Iターンを進める定住策に力を入れて」と訴えた。

 周東町の事務員今中純子さん(43)は「中山間地域の高齢者は病院通いが大きな負担」と厳しい現状を挙げ、「自宅からバス停が遠く、タクシーを利用せざるを得ない人は出費も大きい」と交通弱者対策の拡充を求めた。

(2016年1月18日朝刊掲載)

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