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「低線量被曝もリスク」 チェルノ事故 シンポで報告 広島

 広島大原爆放射線医科学研究所(原医研)のシンポジウム「世界の放射線被ばくとその影響」は26日、広島市南区の同大広仁会館で旧ソ連チェルノブイリ原発事故が周辺国に及ぼした健康への影響などの報告があり、2日間の日程を終えた。

 スウェーデンのゴーゼンバーグ大のトンデル医師は、事故2年後の1988年から同国内でセシウムが検出された汚染地域のがんの罹患(りかん)率を追跡調査。周辺部を含む住民113万人のうち、12年間で3万3851人ががんになった。

 性別や年齢などを考慮してがんのリスクを割り出すと、3・78%の1278人が事故による被曝(ひばく)が関係していると推定。罹患率は非汚染地域に比べわずかに高かったという。トンデル医師は「あくまで統計上の計算だが、被曝が低線量でも影響は無視できない結果になった」と指摘。今後も調査を継続するとした。

 またカザフスタン・アスタナ医科大のローゼンソン教授は、セミパラチンスク核実験場の周辺住民が体のだるさなどを訴える「カイナール症候群」について報告。「症状が出るとされる被曝線量以下でも訴えがみられる」と述べた。原医研の星正治教授は「原爆の黒い雨に遭った人にも共通する事例だ」と指摘した。(金崎由美)

(2012年1月27日朝刊掲載)

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