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ホロコーストの現実 広島市中区でパネル展

 ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の歴史を振り返る「勇気の証言―ホロコースト展」が21日、広島市中区のNTTクレドホールで始まった。人種差別で奪われた命に目を向け、平和と人権の大切さを伝えるのが狙い。28日まで。無料。

 ヒトラーがドイツ首相になった1930年代からのユダヤ人迫害の歴史をパネルで展示。商店略奪、強制収容、殺りくが、ドイツの領土拡大とともに広がり、45年の収容所解放まで続いた。「究極の目的はユダヤ人を除去すること」とヒトラーが30歳の時に記した手紙(複製)も並ぶ。収容所に残された子どもの靴は、無抵抗の人々が犠牲になった事実を浮き彫りにする。

 政府の意に反してユダヤ難民にビザを発給した外交官の杉原千畝氏(1900~86年)と、隠れ家生活を日記に残したアンネ・フランク(29~45年)。信念に基づいて行動した2人の生涯や思いも紹介している。

 安佐南区の主婦梶田由紀子さん(34)は「目を背けたくなる現実だが、子どもに伝えていくことが私たちの使命」と見入っていた。

 創価大(東京)と米国のユダヤ系団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」の共催。会場には、中国新聞ジュニアライターら広島の若者がアウシュビッツ強制収容所跡やアンネの隠れ家を訪れた欧州スタディーツアーの紹介パネルなども展示している。午前10時~午後8時(28日は同5時まで)。(山本祐司)

ホロコースト
 第2次世界大戦中、ナチス・ドイツがユダヤ人や少数民族ロマらを組織的に虐殺、犠牲者は約600万人に上る。「絶滅収容所」として機能したアウシュビッツ(ポーランド)が最大規模で、欧州全域から移送されたユダヤ人やソ連軍捕虜ら100万人以上が毒ガスや銃で殺された。

(2016年1月22日朝刊掲載)

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