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港町覆うグローバリズム 映画「牡蠣工場」 あす広島・7日尾道上映

 台本を用意せず、予定調和を排除する「観察映画」の手法を採る映画監督想田和弘さん(45)の最新作「牡蠣工場(かきこうば)」の先行上映とトークショーが6日に横川シネマ(広島市西区)で、7日にシネマ尾道(尾道市)で開かれる。牛窓港(瀬戸内市)を舞台に、グローバリズムの波にさらされる漁業の現状を描き出した。

 想田さんは2013年11月、牛窓の親族宅に滞在。カキ養殖加工業者の工場にカメラを入れた。水揚げや殻むきの作業は重労働ながら低賃金。中国人技能実習生が貴重な労働力として現場を支える実態に迫った。

 雇用主や従業員は実習生を「中国」「チャイナ」と呼び、名前で呼ぶことはほとんどない。彼らは単純な労働力として扱われるが、日本人従業員との関係は決して険悪ではない。

 中国人を指導する男性は宮城県出身。宮城でもカキ養殖に従事していたが、福島第1原発事故や大津波で打撃を受け、岡山に移住した。第1次産業の苦境に、グローバル経済と震災が重なっていく。撮影の7カ月前に江田島市であった中国人技能実習生による9人殺傷事件の影響も映り込む。

 日程は次の通り。横川シネマ=6日午後6時。大竹市在住のシンガー・ソングライター二階堂和美さんとの対談。Tel082(231)1001。シネマ尾道=7日午後0時半。Tel0848(24)8222。(石川昌義)

(2016年2月5日朝刊掲載)

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