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憲法 学びの輪熱く 安保関連法成立・改憲争点化の動き… 中国地方で講座相次ぐ

 集団的自衛権の行使を可能にした安全保障関連法の成立や安倍晋三首相が夏の参院選で憲法改正の争点化に意欲を示したことに連動して、中国地方で憲法を学ぶ動きが広がっている。各弁護士会は講座や講演会を企画し、市民団体からの講師の派遣要請も相次ぐ。関連書籍の売れ行きも好調で、主権者の国民が自分の問題として考えようと憲法に熱い視線を送る。(胡子洋、久保友美恵)

 広島弁護士会が1月下旬に広島市で開いた憲法講座には67人が参加した。中高年に交じり若者や子ども連れの姿も。同会の平和・憲法問題対策委員会は「いつもは集まっても20人程度」と関心の高さに驚く。この日は権力者をライオン、憲法をおりに例え「ライオンの暴走を封じ込めるのが憲法」とコミカルに説いた。

講師の要請急増

 安倍首相は参院選で改憲勢力による国会発議に必要な3分の2の議席を目指すと表明。家族3人で訪れた呉市の自営業広幡康祐さん(43)は「政権は憲法を軽んじている。現状をどう捉えるべきか学びに来た」と熱心に聞いていた。

 同会によると、集団的自衛権の行使を容認した2014年7月以降、県内を中心に講師の派遣要請が急増し、14年は41回、15年も47回に上った。主婦グループや消費者団体の要請も増えたという。

 安保関連法に反対するママの会・広島は昨年12月、弁護士から内容や意義を学ぶ「憲法カフェ」を開催。メンバーの近松直子さん(26)=広島市西区=は「参加者も多く、関心はまだ高まりそう」と話す。今月11日にもカフェを開く。

 岡山弁護士会では14年8月に連続の講演会をスタート。これまで7回開き、「憲法は危機的な状況。今後も市民に理念や意義を伝えたい」とする。鳥取県弁護士会も各種団体の集会に弁護士を派遣している。

関連本の販売増

 関連本の売り上げも伸びる。ジュンク堂書店広島駅前店(南区)では、条文を載せただけのシンプルな本や安保法の解説本について「昨夏から問い合わせが増えた」。アイドルが学者から憲法の特徴や役割を学んだ内容の本なども幅広く人気を集めている。

 広島大大学院法務研究科の新井誠教授(憲法)は「生活と憲法の関わりを自分なりに考えることが大切。憲法改正による利益や不利益は国民に返ってくる。冷静な判断が必要」としている。

(2016年2月6日朝刊掲載)

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