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【解説】岩国市16年度予算案 将来見通した財源課題

 山口県岩国市の2016年度当初予算案は過去最大規模となった。3月20日で旧8市町村の合併から10年。19年4月に稼働を予定する新たなごみ焼却施設の建設や、17年度末完成を目指すJR岩国駅の東西自由通路整備など、市民生活に直結する大型事業が本格始動する。

 「基地との共存」を掲げる市の予算編成の最大の特徴は、主要事業の多くを基地負担に伴う国の有利な補助金や交付金で賄っている点だ。新たな子育て支援策として打ち出したインフルエンザ予防接種助成の財源にも充てた。

 だが、米軍再編交付金は現時点で21年度まで。地方交付税を上乗せする合併特例も16年度から段階的に縮減される。市民サービスを途切れさせないためにも、将来を見通した財源の確保が課題だ。

 福田良彦市長は対策として、交付金の期限延長などを政府に要望する▽岩国錦帯橋空港を活用した企業誘致や中心市街地のにぎわいづくりで税収増を図る―を挙げる。しかし基地財源の過度な依存は、さらなる負担やリスクを招きかねない。

 広大な市域の大部分を占める中山間地域では人口減少と高齢化が深刻で、地域ごとに行政ニーズは異なる。ようやく整い始めた拠点施設を活用して新たな財源を生み出し、波及効果を市全体に広げる取り組みが求められる。(野田華奈子)

(2016年2月20日朝刊掲載)

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