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被爆医療の成果 継承を IPPNW 北アジア会議開幕 広島

 核戦争防止国際医師会議(IPPNW)の北アジア地域会議が27日、2日間の日程で広島市東区の広島県医師会館で始まった。日本、モンゴル、米国から医師たち約150人が参加。原爆の非人道的な被害や被爆医療の知識を共有し、核兵器廃絶へ連携を深める。

 開会式で、IPPNW日本支部長の平松恵一・県医師会長は「被爆医療の成果を次の世代に継承したい」とあいさつ。県、市、放射線影響研究所(放影研、南区)などでつくる放射線被曝(ひばく)者医療国際協力推進協議会(HICARE)と共催のシンポジウムをし、広島の被爆医療を国内外でどう生かすかをテーマに取り上げた。

 米ニューメキシコ大のフレッド・メトラー名誉教授(放射線科学)は基調講演で、被爆者のがんリスクに関し、白血病が増えた後に固形がんが増えたデータを解説。「フクシマで何をいつ調べるべきかの参考になる」と指摘した。事例報告では、放影研の児玉和紀主席研究員が、HICAREが1991年に結成以来20カ国1300人以上の医師らを研修で受け入れてきた歩みを紹介。広島大の神谷研二副学長は、放射線災害からの復興に携わる人材育成のための教育プログラムを説明した。

 28日は非核兵器地帯などを議論し、「広島宣言」を採択して閉幕する。北アジア地域会議は日本、中国、韓国、北朝鮮、モンゴルの相互理解に向け97年に始まり、9回目。広島開催は2009年以来7年ぶり。(水川恭輔)

(2016年2月28日朝刊掲載)

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